千住博せんじゅ ひろし

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千住博 千住 博(せんじゅ ひろし、1958年 - )は日本画家。

1958年1月7日、東京都杉並区和泉町で、工学博士の千住鎮雄と、エッセイストの千住文子の長男として生まれる。

3、4歳の頃から家中の壁や襖をキャンバスにして絵を描いていた。幼稚園の頃はピアノを習い、また小学校受験勉強として塾で絵の勉強を始める。

1964年、慶応義塾幼稚舎(小学校)に入学。美術部に所属し、運動会の駆けっこを描いた絵が学校代表で展覧会に出品。

1970年、慶応義塾普通部(中学)に進学。美術部、水泳部などに所属。

絵は好きだったが、当時は画家や漫画家になるつもりはなく、その気持ちは高校に進学してからも変わらなかった。

しかし、慶應義塾高等学校時代のある日、所属していた美術部の部室に先輩が持ち込んだデザイン雑誌を目にし、永井一正、田中一光など日本発のグラフィックデザインに衝撃を受ける。

同時期、建築の世界にも興味を持ち始め、美術系の大学へ進学することを決意。

2年の浪人生活を経て1978年に東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻に入学。

1982年、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。

学部の卒業制作は、千住によれば「大いなる失敗」。「描きすぎて、本当につまらなくなってしまいました。でも、それで初めて“筆を置くとき”を知ったのです」と語った。

東京藝術大学大学院へと進み、1984年に修士課程修了作品『回帰の街』が首席で大学の買い上げとなり、どんな苦労をしても画家としてやっていこうと心に誓う。

同大学院博士課程へと進み、稗田一穂に師事する。博士課程修了作品は東京大学買い上げとなる。

卒業とともに作品を精力的に発表し始めます。この時期、筆一本で生活できるようになるまで河合塾で予備校の講師をしていた。

大学卒業後の1980年代後半は、主として風景をモチーフにして絵を描いてる。

「フラットウォーター」を発表した1993年6月、ニューヨークのマックスウェル・デビッドソン・ギャラリーでの個展が好評を博し、ニューヨークの美術誌『ギャラリーガイド』の表紙を飾る。

1995年、ヴェネツィア・ビエンナーレに出品した「滝」は縦3.4メートル、横14メートルの大作で題名は「THE FALL」。代表作の『滝』はそれ自体が絵の具を流しての「滝」なのであり、「滝の描写」ではない。

ここに絵画のイリュージョンから抜け出せなかった歴史からの展開を試みているとし、またテーマと技法と手段が完全に一致した実証と述べた。

1997年、大徳寺聚光院別院全襖絵の制作を大徳寺聚光院から依頼される。

どんなに時間がかかってもいいから、と30代のまだ若い作家に依頼する聚光院の姿勢に恐れ入ったと語った。また、自分を推薦した松井力に大変感謝していると言った。

2003年、大徳寺聚光院別院のために描いた襖絵が「大徳寺聚光院の襖絵展」として東京国立博物館で日本で公開。制作の様子はNHKテレビで『77面の宇宙』として放映。

同年、ニューヨーク・メトロポリタン美術館の主任研究員を務めている小川盛弘から、1954年に戦後の日米友好関係の再構築を願う官民あげての努力により、日本からアメリカへの贈り物として、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の中庭に建造、展示された「松風荘」という日本建築の襖絵の制作を依頼される。

「松風荘」は設計が吉村順三、第11代伊藤平左エ門により施工された書院造りの純日本建築。「松風荘」はMoMAの中庭で1954年から2年間で25万人が見学するほどの好評を博した後、フィラデルフィアのフェアモントパークに移転。

2004年、東京国際空港第2ターミナルの到着ロビーに幅14メートルの『朝の湖畔』、空港ショッピングモールの天井に畳60畳の天井画、空港エスカレーターホールの上には縦6メートル、横18メートルの和紙を用いた立体作品を制作。

2007年、「松風荘」の襖絵が完成する。これにちなみ、フィラデルフィア市が2007年4月27日をHiroshi Senju Dayと制定し、毎年フィラデルフィアでこの記念日の近辺に講演会が開催。また、京都造形芸術大学学長に就任。

2009年、ベネッセアートサイト直島の「家プロジェクト」に参加し、全長15メートルの「空の庭」という崖の作品を完成させる。

崖の背景にはあえて銀を使用し、理由として、銀が経年変化で黒変していくためで、時間が作品を少しずつ変えていき、去年見た作品と今年見る作品では別の作品になっていくという「無常感を視覚化したもの」であると語った。

2010年、APEC JAPAN 2010の会場構成を担当し、各国首脳が自分の絵の前で首脳会議を開き、その映像が広く世界に流れる。

2011年、軽井沢千住博美術館がオープン。それまでの閉鎖的なイメージがあった美術館を、全面ガラス張りという可能な限りオープンな空間にし、原則的に人工照明がないのが特徴。同年、水戸岡鋭治とともにアートディレクションを担当したJR博多駅がオープンする。

公募により集まった3万点にのぼる一般市民が描いた葉や花、鳥の作品を、千住が描く木の枝で一つにまとめ、陶板のタイルに焼き付けるという巨大なアートプロジェクト。

2013年、大徳寺聚光院に新しく増築された大書院等に、襖28面と床の間2ヶ所にわたる障壁画を完成させる。完成までに10年の月日を費やした。

2014年、オペラ『夕鶴』の舞台美術を担当。

2016年3月1日から大徳寺聚光院創建450年を記念して、奉納した襖絵を狩野永徳の国宝障壁画、重要文化財の茶室「閑隠席」とともに2017年3月26日まで特別公開。

薬師寺東院堂にて予備校時代の師・武田成功のガラス作品と「水と光の幻想」展。平成28年度外務大臣表彰受賞。

2017年、第4回イサム・ノグチ賞受賞。

千住博の代表的な作品

  • 「ウォーターフォール」
  • 「大徳寺聚光院伊東別院襖絵」
  • 「石橋」

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