
鈞窯の青磁花器
中国陶磁器の重要な窯場の一つである鈞窯(きんよう)の青磁花器をお譲りいただきました。
鈞窯は宋代(960-1279年)に河南省禹県で栄えた官窯で、その独特な釉薬技術により「窯変釉」と呼ばれる神秘的な色彩変化を生み出すことで知られています。
この花器に見られる青紫色の美しいグラデーションは、鈞窯最大の特徴である窯変釉の典型例です。この作品では、淡い青色を基調としながら、部分的に紫がかった色調が現れており、まさに自然の妙技というべき美しさを呈しています。
形は古代青銅器を模した形状で、ラッパ状に広がった口部から細くくびれた胴部、そして再び膨らむ下部へと続く優雅なシルエットが特徴的です。この形式は宋代の陶磁器において花器として重用され、文人の書斎や茶室を飾る重要な調度品でした。
鈞窯の技術的革新は、単に美しい色彩を生み出すだけではありません。高温での焼成技術、釉薬の化学変化、そして窯の構造まで、当時の最先端技術が結集されています。特に注目すべきは釉薬の厚みで、この作品でも見られるように、厚くかけられた釉薬が独特の質感と深みのある色調を生み出しています。
台座の透かし彫りの文様も、中国古典文様の流れを汲むデザインで、花器全体の格調を高めています。
鈞窯の作品は現在、世界中のコレクターや美術館から高く評価されており、特に宋代の真作は極めて希少で高値で取引されています。その理由は、製作技術の高さ、歴史的価値、そして何より「二つとして同じものが存在しない」という窯変釉の特性にあります。
近年の古美術市場では、鈞窯作品への関心が高まっており、保存状態の良い作品は継続的に価値が高まっています。
もし遺品整理などでこの鈞窯のような中国の古い陶磁器を見つけて、買取をお考えの方は、いちど古美術永澤へご相談ください。専門の目利きがその価値を適正にご提示いたします。
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