遺品整理で骨董品を高く売る方法 ― リサイクルショップとの違いも解説

実家整理遺品買取・整理 2025.04.25

[1]骨董品はどこに売るのがいいの? と悩む人は多い

「実家の遺品を整理しなくては」と気にしている人は少なくありません。現代は本家という概念も、実家は兄弟の誰かが住み継ぐという感覚もすっかり薄れ、子世帯もそれぞれに家を持つのが当たり前になりました。その結果、単身、あるいは夫婦二人で暮らしていた親世帯が他界すると実家が空くことになり、遺品整理や実家じまいが必要になります。

ところが実家は子世帯にとって遠方であることが多く往復にも時間がかかるので、つい遺品整理も先延ばしになってしまいます。特に悩まされるのは位牌など先祖代々から受け継いでいるものや骨董品の類いです。衣類や布団、古い家具類などはごみとして廃棄することにして自治体のごみ収集を利用して一括処分すれば良いのですが、押入の天袋などにしまい込まれた骨董品類は捨てるわけにもいかず処分に悩みます。どこかに売れればいいのですが、そのためにどうすれば良いのか、誰が買ってくれるのか、すぐには思いつきません。地元に馴染みの古道具屋さんでもあれば相談できますが、都市部では古道具屋さんはみつかりません。インターネット上のフリーマーケットもありますが、出品に手間がかかり、売れるとも限らず、処分できたとしても時間がかかります。骨董品の処分は骨董品買取専門店か、「不用品回収と買取」を掲げたリサイクルショップが、その依頼先に浮上してきます。

 

[2]リサイクルショップ vs 骨董品専門店

実家じまいや遺品整理をする人が増えたこともあり、不用品の回収・処分に加えてブランド家具や状態の良い家電、貴金属、ブランド小物、カメラ、骨董品、宝石などの買取も同時に行うというリサイクルショップや不用品買取業者が増えています。「どんなものでも処分」「すぐに駆けつける」「位牌などの遺品も供養して丁寧に処分」「買取も」といったことが宣伝文句になっています。骨董品・美術品もメニューに入っているので、すべて一括で頼めて便利と感じる人が多いかもしれません。しかし骨董品の買取を謳っているものの、事業の主流は「不用品の回収・処分」にあります。骨董品買取はプラスアルファのメニューにすぎません。というのも、骨董品は鑑定・査定が難しく、簡単に事業化できるものではないからです。一口に骨董品と言っても、掛け軸や絵画、陶磁器、仏教美術、中国美術、漆器などの工芸品、刀剣、さらに西洋アンティークまで、さまざまなジャンルに分かれます。それらのすべてについて、その場で査定できるのは経験を積んだ目利きしかいません。販路についてのネットワークも必要です。市場のどこに愛好家がいるかを知っているからこそ高い買取価格も提示できます。不用品回収業の副業のようにしてできるものではないのです。これに対して骨董品買取業は、それが専門ですから確かな目利きが中心となって事業を展開しています。目利き自身が骨董品や美術品の愛好家であり、その価値を良く知っています。事業として行っているものではありますが、価値あるものを残し、愛好家の手に渡して長く伝えていきたいという想いがあり、それが手放す人を安心させるものになっています。

 

[3]高く売るための具体的なステップ

骨董品の買取を求める人が願うのは、当然ながら少しでも高く買い取ってもらうことです。それは単に金銭的な意味合いだけではありません。高価格であることはそれだけ価値が認められたということです。大切にしてきた親世帯の想いに応えるためにも、買取価格は高いものであってほしいと誰もが思うはずです。だからこそ骨董品買取専門店に見せることが必要です。確かな目利きがいて、買取実績も豊富な店にぜひ依頼しましょう。

出張買取をしていれば来てもらうのが一番です。これはと思うものだけでなく、価値があるかどうか分からないというものも、自宅に来てもらう機会を利用して気軽に査定してもらえば、自分では気がつかなかった掘り出し物が見つかるかもしれません。LINE査定、メール査定などを行っている買取店なら、まず手元の骨董品の画像を送って簡易査定をしてもらうのも1つの方法です。買取店では、どういう品物があるのか一定の見当が付き、同時代や同じ作家のものがあるのではないか、あるいは他にこういうものもあるのではないかと予想することができます。買取を依頼するほうも、大体の相場感を持って出張査定当日に備えることができます。

 

[4]価値がわからないものも、処分せずに専門店に査定を依頼してみる

骨董品と呼ばれるものの多くは汚れやキズがあったり、経年による劣化もあります。また、あるはずの木箱や付属品がないということも考えられます。しかしその場合でも、価値がないと決めつけたり、不用品として処分してしまうようなことをせず、専門店に見てもらうことが大切です。たとえ汚れやシミがあっても「この作家のものならぜひ手に入れたい」と考えているコレクターも存在します。目利きはそういう人についての情報や、そういう人への情報提供ルートも持っています。一般の美術品市場では取引が難しくても、そうした特別のルートならほしい人につながることができます。「だめでもともと」なのですから、ぜひ見てもらうことをお奨めします。

 

[5]適切な買取業者を選ぶことが重要

骨董品は正札がついて流通するものではありません。極端に言えば、価値を認める人には高価格で販売でき、価値の分からない人には、いくら安くても買ってもらうことはできません。定価のある商品ではなく、相対で自由に取引価格が決められるものです。それだけに、その品物の価値がわかり、さらにそれを求める人がどこにいるのかを知っている適切な買取業者を選んで託すことが大切です。

そういう業者がどこにいるのかがわからないと思う人は少なくないと思います。昭和の時代なら地元の商店街に一軒や二軒は古道具屋があったり、人のつながりを辿って美術商や画商に会うことも難しくありませんでしたが、今はまわりを見渡しても骨董品を見てくれるような人の姿はありません。その代わりインターネットがあります。この巨大な情報ネットワークにアクセスすれば、骨董品買取店を見つけることができます。手軽に見つかるだけに、玉石混淆であることも事実です。インターネットでは簡単に店が出せるので、その中から1店を選ぶのは簡単ではありません。チェックポイントはその店の歴史とこれまでの買取実績、そして利用者の声です。

歴史で言えば、ここ10年〜15年程度の業務歴では浅すぎます。2000年を過ぎる頃から高齢化社会の本格的な到来と共に骨董品市場が少しずつ拡大していきましたが、その流れを見て事業を始めた会社だからです。やはりそれ以前から骨董品を扱っている専門店にはかないません。業務歴は30年以上が1つの目安です。また買取件数の多さも重要です。年間数千点や1万点くらいでは少なすぎます。10万点以上はほしいところ。それだけ顧客をもち、オークションにも参加し、買取の原資をもっているということです。ホームページには会社の沿革や年間の買取件数、さらに買取実績が出ていたり、顧客の声なども紹介されていますから、ぜひ参考にしましょう。こうした基本情報をそもそも欠いている場合は、買取店候補から外してしまって構いません。買取店はぜひ慎重に選んでください。

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担当

骨董買取コラム編集室

骨董目利き修行者

将来、古美術商になるため古美術永澤で修行中。愛読書は廣田不孤斎の歩いた道。