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[1]遺品整理にかかる平均費用
親や親族が亡くなったときに行うのが遺品整理です。最も多いのは親世帯が亡くなり、遺されたさまざまな品物を子世帯が整理するというケース。一人暮らしで配偶者も子どももいない叔父や叔母が他界し、生前に親交があった場合などは、甥や姪が遺品整理に当たることもあります。いずれにしても慌ただしく葬儀を終えてほっとする間もなく「住んでいた家をどうするか」「遺品をどうするか」という問題にぶつかります。
遺された子世帯や親族には、まだ気持ちの整理が付かなかったり、日常の仕事や生活もあり、またそれぞれの家族の事情もあります。時間を割くのが大変ということはあるものの、住まいや遺品整理のことをいつまでも先送りすることはできません。故人の住まいが賃貸であれば退去・原状復帰を急がなければなりません。施設に入居していた場合も、荷物を受け取って部屋を空けることが必要です。自分で所有していたマンションや戸建て住宅に住んでいた場合は、相続の手続きとともに、遺品整理の必要が出てきます。
遺品とは故人が使っていた日用品や所有していた品物のすべてを指します。家財道具から衣類、本や文房具、手紙や写真や資料、アクセサリー、テレビやオーディオなどの家電製品、さまざまなコレクション、骨董品や美術品など多岐にわたります。それらの整理・処分の方法は2つです。1つは自分の手ですべて行うこと。もう1つは遺品整理業者に依頼することです。
自分でやる場合には、引き続き使うものや寄付、形見分けするものなどは手元に引き取り(家具などの大きなものがあれば運送業者の手配と搬出への立ち会いが必要)、廃棄するものは、ごみの収集日を確かめて出し、大きなものは自治体の粗大ゴミ収集を依頼します。またリサイクル・リユースができるものは、専門店に持ち込むか回収を依頼します。
一方、遺品整理業者に依頼する場合は、インターネット検索などで業者をピックアップして依頼します。遺品の分別や処分などはすべて業者がやってくれるので、依頼主がやるべきことは特にありません。
自分でやる場合は、粗大ゴミなどに出す場合に、多くて数千円が必要になります。また、家庭用のエアコン、テレビ、冷蔵庫(冷凍庫)、洗濯機(衣類乾燥機)の家電4品目は適正な廃棄が義務づけられており、1台当たり1,000円から大型の冷蔵庫などは4,000円程度の処理費用と運送費がかかります。
業者に依頼する場合は、部屋の広さや処分する品物の量で料金は変わります。一般的には2LDKで20万円ほど、4LDKになれば35万円以上の料金が目安です。
[2]買取を活用すると遺品整理にかかる費用を抑えられるケースも
もし遺品整理を一人で進めれば、費用はわずかで済みます。しかし、かなりの手間がかかり、1日では終わりません。それに対して、一定の出費さえ覚悟して遺品整理業者に頼んでしまえば楽です。事前の片付けや仕分けも不要、品物を撤去した後の清掃もやってくれます。しかも、遺品整理業者のほとんどが品物の買取サービスを用意しています。遺品のなかに骨董品や美術品、ブランド品、金・銀製品、着物、趣味のコレクション、古着、発売後3年程度の年式の新しい家電製品、リサイクルして販売できるものなどがあれば、それを独自に査定して、即、現金で買い取ってくれるというものです。買取品のメニューは幅が広いので、期待していなかったものが現金化される場合もあります。「実家の遺品整理を頼んで30万円程度の見積もりをもらっていたが、押入の奥に隠れていた掛け軸と本漆の菓子皿、2年前に親が買ったマッサージ機を合計7万円で買い取ってもらえたので、その分、遺品整理の費用を抑えることができた」といった声もあります。
[3]遺品整理と買取を一緒に行うときのポイント
高額の買取があれば遺品整理費用の負担を大幅に減らすことができますが、それを上手に行うためにはコツがあります。それは遺品の内容をしっかり見極めることです。簡単なことのように聞こえますが、遺品整理は生前に自分の身の回りを片付けるのと違って、時間に余裕がないことがほとんどです。賃貸住居からの退去、持ち家の売却に伴う明け渡しなどの期限に追われるからです。日常の仕事をしながら、その合間に時間を取らなければならないので、気がついたら期限が数日後、ということになりかねません。そのため多くの場合、遺品整理は一括で全部やってくれる整理業者に頼んで済ませるということが多くなります。勢い現場では「これも要らない、あれも持って行って」と早く簡単に片付く方向に傾くのですが、そのためうっかりして価値のある骨董品や美術品を不要品扱いにしてしまったり、リサイクルにまわすことを前提に交渉すれば高額で買い取ってもらえそうなものも、単なる不要品として渡してしまう、ということが起こります。遺品整理業者も転売できるもの、リサイクルして再販できるものを見つけて収益率を高めることを考えています。依頼者が見落としているものを「いやこれは値打ちがありますから」と積極的に値付けをする整理業者はまずありません。「時間に余裕を持つ」――これだけで遺品整理を失敗のないものにすることができます。そもそも遺品整理は品物を手にすることで改めて故人を偲び、心の中で会話をしながら感謝し、見送る大切な機会でもあるはずです。その意味でも、しっかり時間を確保したいものです。
[4]買取できるもの・処分すべきものの見極め方
少しでも時間を取ってまずやるべきことは、すべての遺品をまず「廃棄するものと何らかの形で使うもの」に大別することです。これはそう難しくありません。まずは間違いなく廃棄するものを別にするということです。残ったものは、誰かが使う、買い取ってもらうのどちらかです。「このコートはまだ新しいし、デザインも古びていないから私が着よう」「この万年筆は甥っ子が物を書くのが好きだから形見分けにあげよう」「この絵は私の趣味ではないけれど、個展で父が買ってきた物。値打ちが出ているかもしれないから専門家に見てもらう」「これはリサイクルすれば立派に売れそう」「この資料や本は寄贈しよう」「これはフリーマーケットに出せばほしい人がいそう」……いろいろな“使い道”が考えられます。そのためにすぐ動く必要はありません。そういう見通しを付けて、遺品の“山”を徐々にいくつかに分けることです。その上で「骨董品・美術品」など、査定を受けて買取を依頼したいと思う品については、専門の買取店に依頼します。骨董品についても「高価買取」を謳う遺品整理業者もありますが、こうした「一括引き受け」を特徴にする業者には骨董品・美術品の査定に精通した査定士が存在することはほとんどありません。きちんと価値を見極めてもらうには専門店への買取依頼が重要です。
[5]賢く遺品整理を進めるためのコツ
遺品整理はあらかじめ計画が立てられないことがほとんどです。急にやらなければならなくなり、しかも多くの場合、時間に余裕がありません。そのため、ギリギリになって「一括整理」を謳う業者に“丸投げ”することが多くなります。確かに1日〜数日ですべて片付けてくれ、掃除までしてくれるので便利ですが、手元に大切に取っておきたい品物や、市場に出せば喜ばれ高額で取引されるものをみすみす不要品として処分してしまう失敗が起こりがちです。故人への思いを改めて振り返るためにも、整理費用を抑えるためにも、少しでも時間を取り、骨董品・美術品については価値の分かる専門店に託すことが大切です。
古美術永澤では、実家整理や遺品整理に伴う骨董品・美術品の買取をお手伝いしております。気になるお品物の画像をLINEまたはメールでお送りいただければおおよその査定額をご案内しております。お品物の点数が多い場合は査定士が出張することもできますのでまずはお電話かメールにてお問い合わせください。