2025年 骨董品市場の最新動向とトレンド

骨董品買取骨董品買取 2025.05.21

[1]高まる骨董品への関心

市場で一度購入され、それが売りに出されたものをリユース品と呼びます。中古車や古本、古着、古道具などは昔から盛んに売買されてきました。専門の買取店・販売店もあります。そのリユース品の売買が、今、大きく増えています。地球環境問題が深刻化するなか、資源を無駄にしないという機運が高まり、また、価値のあるものを安く手に入れたいという意識が高まっていることが背景にあります。これまでリユース品を探しているというと「お金がないから」というようにもっぱら経済的な理由と受け止められてきました。しかし今は、環境保全に関心を持ったり、ものの価値を大事に考えているからと評価されることが少なくありません。良いものを長く使うこと、安く発掘することは賢い行動と受け止められようになっています

リユース品の拡大に伴って骨董品市場も伸長傾向にあります。実際、アートを含めた数字ですが、2023年の日本国内のディーラー、ギャラリー、オークションハウスによるアート及び骨董品の売上高は946億5,900万円と推定され、コロナ禍以前の2019年に比べ11%という高い成長率を示しています(アーツ・エコノミクス社「The Japanese Art Market 2024」)骨董品と言えば従来は古道具が好きな限られたマニアの世界でしかありませんでした。しかし今では、買取店も増え、インターネットのフリーマーケットサイトも充実して、誰でも気軽に品揃えの状況を確認したり、出品や購入も普通の買い物と同じようにできるシステムが整っています。

チェーン店を国内外で展開、年間の売上高が1,000億円を超える買取大手も登場しています。査定から買取、流通・販売まで、骨董品の売買システムを整備しマニュアル化して、全国どこでも誰でも同じように事業展開できるようにしている点が特徴で、査定から買取までやや時間がかかることがありますが、事業としての安定を図っています。

他方で、昔ながらの個人商店的な骨董品買取店も健在です。こうした店では、ベテランの目利きが存在し、長年の経験を通して培った鑑定眼を武器に査定や買取を進めています。システム化・マニュアル化せずに、目利きがその場で決断する事業スタイルで、その決断の速さや確かさ、幅広く深い美術的な知識も魅力になって、個人でリピートする顧客も少なくありません。

[2]骨董品市場は今、どう動いている?

リユース市場規模は年々拡大を続けています。環境省が公表しているリユース市場に関する調査では2009年に約1兆1,000億円だった市場規模は2022年には約2兆8,900億円となり、2025年には3兆2,500億円に達すると見られています。インターネットを介したリユース市場も大きく拡大、2011年には全体の約10.5%でしたが、2022年は33.6%にまで拡大しています。

リユース市場の拡大と共に骨董品の売買も盛んになりました。骨董品は一般的には製造から100年以上が経過し、古いだけでなく歴史的・文化的な価値を持つものとされていますが、定義が明確ではないことから骨董品に注目した市場データはありません。しかし、古美術品や陶磁器、装身具、古道具などの売買は盛んで、買取店も増えています。

骨董品の買取は、相対で行われるものとメールやLINEなどデジタル通信を媒介にしたものの2種類がありますが、いずれもまず査定が行われ、査定額の提示を経て売買に進みます。査定と鑑定は同じではありません。鑑定はその品物の持つ価値を、真贋を含めて見定めるもので、本質的な価値を価格で表現するものです。本来この品物は、これだけの価値があるということを評価します。これに対して査定は実際に市場で取引される予想価格を示すもので、買取店の買取価格でもあります。実際のその時の流通市場の動向に合わせた合理的な価格だと考えることができます。

[3]今人気の骨董品はある?

掛け軸書画陶磁器などは骨董品の代表格です。時代を問わず取引が行われています。評価の安定した作家のものであれば、価格が大きく変動することもありません。ただし、まれにその作家に対する歴史的な評価が上がるなどして、価格が大きく変動することがあります。最近では江戸時代の花鳥画家であった伊藤若冲などが代表格です。30年ほど前から急に人気が高まり、市場価格が跳ね上がりました。正体不明のストリートアート作家であるバンクシーも21世紀に入って急速に人気を高めました。また、戦後のアメリカ文化に影響を受けた日本の初期のポップアート作家である田名網敬一や横尾忠則の作品も初期のものはすでに60年以上がたち、注目の作品として扱われるようになりました。持ち主の多くが80歳代になり、市場に出るようになっていることも一因です。伝統的な骨董品などに縁がないと思っていた人も、親世代が残した戦後のポップアートのなかに価値の高いものが眠っているかもしれません。最近はフリマアプリ上での画像情報を基にした取引が一般化し、買取店ではオンライン査定などを行うところも増えています。どのくらい価値があるか見当が付かないという時は、まずオンライン査定で感触を得ることもできます。骨董品の世界に縁がなかったという人の手軽な入り口になっています。

[4]骨董品の高価買取はどうしたら可能に?

定番の骨董品が厳として存在する一方、今ほしい人が増えているとか、これから人気が出そうだという骨董品もあります。何十万円、何百万円の価格が付くような高名な作家の陶器や書画などが実家や自宅から出てくることはなかなか考えられなくても、汚れもあるし落款もない、箱にも入っていないからとあまり大切に考えていなかった掛け軸書画が、実は高名な作家の若いときの習作だったということもあります。戦後間もなくの日本に生まれ世界美術界に大きな影響を与えた具体美術の作家たちの作品なども、あまり知られていないとはいえ価値の高いものがあります。あるいは益子焼の陶芸家である加守田章二なども、人間国宝という最高の栄誉を受けた人ですが、生涯さまざまな作風に挑戦し、その時その時で力の入った作品を残しました。作品点数は多く、まだ発掘されていないものも少なくないと言われています。「価値がなさそうもし」と決めつけてしまわずに、汚れやキズがあっても、一度目利きのいる骨董品の買取専門店に見てもらうのが良いでしょう。

[5]どんな骨董品が買い取られているか、アンテナを高く

骨董品市場は非常に幅が広く、また時代によって評価の変わるものもあります。実家の遺品整理で初めて見たような掛け軸や絵画、陶磁器などはもちろん、工芸品ブランド食器、さらには親世帯の趣味のカメラや鉄道模型、和楽器なども骨董品として高く買い取られる可能性があります。実家整理は急がなければならないこともありますが、骨董品や美術品まで慌てて処分することはありません。要らない、使わないと思ってもしばらく手元にとどめて美術界や骨董品流通の世界でどんな話題があるのか、チェックしていくのも良いのではないでしょうか。骨董品の買取店で、経験豊富な目利きが中心になって買取を進めているところもあります。そういう買取店のホームページをチェックすればどういうものを買い取っているかが分かりますから、「それなら自分の手元にもある」と気付くことができます。その時はLINEやメール添付で画像を送れば気軽に買取店の反応や感触を知ることもできます。今までより少しだけアンテナを高くするだけで、掘り出し物を見つけることができるかもしれません。

 

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担当

骨董品買取コラム編集室

骨董目利き修行者

将来、古美術商になるため古美術永澤で修行中。愛読書は廣田不孤斎の歩いた道。