とどまることを知らない物価高騰やオンライン取引の充実化など、前年から続く社会的な流れは、骨董品やリユース市場にも少なからず影響を与えています。本コラムでは、2026年の骨董品市場に見られる最新動向や注目すべきトレンドを、4つの視点から整理しました。時代の変化を冷静に見つめつつ、身の回りの整理整頓を考えるための一助となれば幸いです。
目次
[1]切手の相場は変動の兆し
近年、日本郵便は別納郵便物(大量発送時の料金支払い方法)の約款を改定し、2026年2月1日から、料金別納郵便物に対して郵便切手で支払える上限を「5万円」に制限することを発表しました。これまで一回あたり最大100万円分まで切手で支払うことができた制度が大きく見直されることで、切手を大量に使用してきた企業や団体などの大口顧客にとっては、従来どおりの運用が難しくなると見られています。
この制度変更の影響から、一部の買取市場では切手の相場が下落傾向にあるとの声も聞かれます。一方で、歴史的価値やデザイン性に魅力を感じるコレクター層は依然として多く、当社においても、状態の良い切手をお譲りいただく機会は少なくありません。切手市場は現在、実用性と収集価値の両面で転換期を迎えていると言えるでしょう。

日本の切手コレクション
[2]物価高を背景にした“不要品売却”の動きが増加する予測
政府による各種経済対策が打ち出されている一方で、日本国内では依然として物価高が家計を強く圧迫しています。その影響から、不要品の売却を検討する人が今後増加するのではないか、という見方が骨董品・リユース業界から出ています。実際、当社においても、遺品整理や実家整理といった、近年広がりを見せている「終活」に関するご相談に加え、
・日々の生活費の足しにしたい
・お子さんやお孫さんの門出に向けて、まとまった資金を確保したい
といった切実な理由から、ご自宅に眠っていたお品物についてご相談をいただくケースが増えてきた実感があります。しかし、この動きは、必ずしも悲観的な出来事としてだけ受け止めるべきものではありません。生活の質を守りながら、価値を理解してくれる方へ品物を託すという考え方は、骨董品が次の世代へと受け継がれていくことにもつながります。整理整頓が生活防衛と文化継承の両立につながるならば、それは「新しい可能性の広がり」として捉えても良いかもしれません。

[3]デジタル時代において光る昭和レトログッズ
書籍やゲームソフト、トレーディングカードなどのデジタルグッズが一般化するなかで、改めて注目を集めているのが、昭和期に生まれたレコードや玩具、ノベルティグッズといった「昭和レトロ」の品々です。アナログならではの質感やデザイン、当時の空気感を色濃く残すこれらの品物には、世代を超えて共感を呼ぶ魅力があります。コレクター層の裾野も広く、安定した需要が続いている分野と言えるでしょう。
「元々高価なものではないから」といった理由から、処分を検討されることも少なくありませんが、実際には思いがけない評価につながるケースもあります。時代背景や保存状態、当時の流通事情によっては、現在では入手困難な資料的価値を持つ品物も少なくありません。昭和レトロの品々は、単なる懐かしさにとどまらず、時代を映す文化資料として、今後も一定の評価を受け続けていくと考えられます。

不二家ハイカップ ペコちゃん人形
[4]“昔からあるものを大切に使う”という価値観の広がり
近年のリユース市場全体の動きを示すデータとして、リユース経済新聞の2024年版市場規模推計によれば、2024年度の国内リユース市場規模は前年比約4.5%増の約3.3兆円に達し、2009年の集計開始以来15年連続で拡大しています。さらに同紙の予測では、2030年には約4兆円規模に拡大する可能性があるとも示唆されており、オンライン取引の拡大も追い風となって、骨董品やアンティーク、リユース品の売買が、経済的にも価値ある選択肢のひとつとして人々に定着してきていることが伺えます。
こうした動きと歩調を合わせるように、世界的にも「昔からあるものを大切に使い続ける」という価値観が広がりを見せています。その中でも、日本の中古品は「状態が良い」「丁寧に扱われている」という点で、海外のコレクターから高い評価を受けています。近年では日本を訪れた海外の旅行者が、着物や陶磁器類、民芸品といった日本ならではの品物に触れ、興味を持つ機会も増えています。このような流れの中で、日本の骨董品への注目は、今後さらに高まっていくと考えられます。

まとめ
2026年の骨董品市場をめぐる動きは、相場や市場規模といった数字の変化だけでなく、物を大切に扱い、次へと受け継いでいこうとする人々の価値観の広がりとも深く結びついています。「古いものだから」「もう使わないから」と捨ててしまう前に、その品物が持つ背景や価値を一度確かめてみることで、思いがけない選択肢が見えてくるかもしれません。
