黎元洪れい げんこう

黎 元洪（れい げんこう、1864年-1928年）は、中国清末・中華民国初期の軍人・政治家である。
中華民国最初の副大統領。第2代、4代中華民国大総統。湖北省黄陂県出身。字は宋卿。
激動の中国革命期に王制に終止符を打った、中国史上に残る革命家といえる。
書や詩を残したほか、中華民国開国記念銀貨にその肖像画が刻まれている。

1883年 光緒九年 天津北洋水師学堂入学。
1906年 湖北新軍の第21混成旅団長となる。
1911年 武漢市武昌で新軍内の革命軍が蜂起。武昌起義が起こる。逃げ遅れ革命派に捕らえられるが、革命派の主張も理解していた黎元洪に軍政府湖北都督に就くよう強いる。次第に革命に積極的になり、革命派代表として清朝の軍機大臣・袁世凱と停戦交渉を行った
1912年 中華民国元年 1月1日 孫文が南京で中華民国臨時大総統に就任。黎元洪は副大総統に就く。
1913年 民国二年 袁世凱を支持し、第二革命を鎮圧。同年10月、袁世凱は大総統に、黎元洪は副総統に正式に就任する。
1915年 民国四年 袁世凱が帝政復活を宣言。国内外から一斉に反発の声が上がり、黎元洪を大総統就任を示唆する声がかかる。同時に、皇帝となった袁世凱が武義親王の称号を与えようとするが、どちらも固辞。隠棲生活を送る。
1916年 民国五年 6月、袁世凱死後，黎元洪が大総統を後継する。このことが、大総統府の長・黎元洪と国務院の長・段祺瑞の政治闘争「府院の争い」を招く。1917年5月23日段祺瑞を罷免した事で一応の決着をみたが、すでに事態は手に負えなくなっていた。
1917年 民国六年 7月17日、黎元洪が大総統を辞職。
1922年 民国十一年 6月11日、再び大総統の職に就くが求心力は低迷し、国政は迷走した。
1923年 民国十二年 6月13日、大総統を事実上辞職。政治の一線から退いた。11月には、日本の別府温泉で湯治するため、上海を離れる。
1924年 民国十三年 5月11日、天津に戻る。以降、企業投資や社交界での交友するなど政治的なことは公言しなかった。
1928年 民国十七年 6月3日、天津にて逝去。享年65歳。1935年11月、国民党によって国葬が行われ、武昌の卓刀泉に埋葬された。

清の軍人だったがその人生は幾度となく重大な局面に遭遇した。辛亥革命時には反乱軍の大将に推され、また辛亥革命後の北洋軍閥政府時代には安徽派・直隷派にそれぞれ傀儡として大総統に推される。軍人出身にも拘らず、中華民国期には軍事力を背景としていない政治家であった。