椿椿山の作品買取つばき ちんざん

椿椿山（つばき ちんざん, 1801–1854）は江戸時代後期を代表する文人画家のひとりです。享和元年（1801）に江戸に生まれ、本名を渡辺登といいました。幼少より画才を示し、やがて文人画の大家である渡辺崋山に師事し、その高弟として頭角を現しました。師の崋山が写実的で社会性の強い作風を特徴としたのに対し、椿山は清澄で優雅な趣を重んじ、より抒情的で格調高い画境を築いた点に特色があります。山水画や花鳥画を得意とし、精緻な筆致と淡雅な彩色によって、自然の美を詩情豊かに描き出しました。とりわけ花鳥画は、その清雅な表現で高い評価を受けています。安政元年（1854）に54歳で没しましたが、門人も多く、その画系は椿派として江戸後期から近代にかけて広がりました。現在も東京国立博物館や出光美術館などに作品が所蔵されており、文人画の系譜における重要な画家として位置づけられています。