
オールドノリタケの皿です。緑豊かな丘陵と曲がりくねる道、木立に咲く花々、そして雲が浮かぶ空が描かれ、明るく牧歌的な雰囲気を伝える一枚です。縁には流れるような模様と盾の形を思わせる飾りが並び、深い緑色の帯模様と組み合わさることで独特の華やかさを見せています。オールドノリタケは、明治末期から戦前にかけて欧米向けに輸出された陶磁器で、日本の緻密な絵付け技術と、アール・ヌーヴォーやアール・デコなど欧米美術の流行を巧みに融合させた点が大きな魅力です。華やかな金彩や和洋折衷のデザインに加え、風景画や静物画といった欧米市場の好みを反映した作品は特に人気を博しました。
本作に見られる田園風景を明るい調子で描いた装飾は、当時の欧米市場で好まれた「牧歌的ロマン主義」を体現しています。また、縁の意匠にはアール・ヌーヴォーからアール・デコへの移行期の雰囲気が宿っています。
オールドノリタケの作品群は、海外の生活文化に適応しつつ、日本的な筆致を失わない独自性を持ち、本作もその一例として歴史的・美術的価値を兼ね備えた貴重な作品といえるでしょう。
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