
スイスの名門、IWC(International Watch Co.)シャフハウゼン製の懐中時計をお譲りいただきました。文字盤には筆記体のブランド銘が優雅に記され、外周には13〜24の数字を備えた24時間表記、6時位置にはスモールセコンドを備えるなど、当時の高精度実用時計に求められた要素が的確に盛り込まれた設計となっております。
注目すべきは、インデックスに用いられているアラビア数字の採用です。19世紀末〜20世紀初頭にかけて、懐中時計の文字盤デザインには大きな変化が見られ、それまで主流だったローマ数字からアラビア数字へと徐々に流行が移行していきました。視認性の向上とモダンな印象を重視する動きが広まりつつあった時代背景を、この時計の意匠からもうかがうことができます。
IWCは創業以来、正確さと信頼性に重きを置いた時計製造を行ってきたブランドであり、本品もその精神が色濃く反映された一本です。1920年代当時の技術水準と美意識が融合した完成度の高い懐中時計といえるでしょう。
リューズ式のオープンフェイス型ケースは堅牢で、日常使用を想定した構造でありながら、ブルースチール風の針や絶妙なフォントバランスにより、工芸的な洗練も感じられます。機能性と美術性の両面から高く評価させていただきました。
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