
YAMATAKE & CO TOKYOの文字が刻まれたクロノグラフ懐中時計をお譲りいただきました。文字盤中央に明記された社名は、20世紀初頭の日本で精密機器の輸入販売を担っていたヤマタケ商会を示すものであり、当時の時計流通の実態を伝える興味深い一例です。
ヤマタケ商会は1906年(明治39年)に創業され、欧米の先進的な計測機器や制御装置を日本に導入する輸入代理店として活動を開始しました。気圧計や温度計などの工業用計器に加え、精度を求められる計時機器、特にスイス製クロノグラフや懐中時計などの輸入にも力を入れていたことで知られています。本品に見られる「YAMATAKE & CO TOKYO」の表記は、そのような取扱品の一環として輸入後に独自の銘を加え、国内で販売されたことを示すものです。
外観の設計や文字盤構成は、1920年代にスイスで多く製造されていた実用型クロノグラフ懐中時計と共通する点が多く、特に外周に刻まれた多重スケールや機能配置から、当時の輸出用量産機を基に構成されたモデルであると考えられます。本品はそうした商流を今に伝える、資料的にも意義深い懐中時計といえるでしょう。
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