
旧日本軍の勲章や記念章をまとめた一式をお譲りいただきました。色とりどりのリボンが付いた複数のメダルが台布に縫い付けられ、当時の軍人が式典の際に胸に着けていた姿を思わせる貴重な保存状態です。
これらの記章は、日清戦争や日露戦争、支那事変、大東亜戦争といった大きな戦争に従軍した証として授けられた「従軍記章」や、天皇の即位や国家的行事を記念して発行された「記念章」から構成されています。単体で見ても価値のある章ですが、このように一人の軍歴を反映した形で揃って残っていることは、当時の歴史を立体的に理解する手がかりとなります。
日本の勲章制度は明治期にヨーロッパを参考に整備され、功績を称える勲章とともに、幅広い将兵へ従軍や記念の証としてメダルが与えられました。これらは名誉の象徴であり、軍人にとって大きな誇りでした。戦後になると進駐軍の命令で身に着けることは禁じられましたが、今日では近代日本の軍事史や社会史を知るための重要な資料と位置付けられています。