
象牙製の能面帯留
先日、お客様より、大変希少な象牙製の能面「小面(こおもて)」を模した帯留をお譲りいただきました。
今回買取させていただいた帯留は、日本の伝統芸能である能の世界が凝縮されています。目を引くのは、能面の中でも人気があり、若く美しい女性を表す「小面」の特徴を完璧に捉えている点です。
わずかな窪みで表現された目の奥ゆかしさ、伏せられた瞳、そして口元に浮かぶ微笑みは、見る角度や光の当たり方によって様々な表情を見せます。熟練の職人が象牙の持つ特性を最大限に活かし、丹念に彫り上げたことが一目でわかる逸品です。
象牙という素材は、その加工の難しさから、このような緻密な彫刻を施すには高度な技術と経験が求められます。また、時間の経過とともに象牙特有の美しい飴色へと変化していく様も、多くの愛好家を惹きつける魅力の一つです。今回の帯留も、長年の歳月を経て深みを増した象牙の風合いが、作品にさらなる格調を与えていました。
この帯留の製作時期は、おそらく明治から昭和初期あたりと推察されます。海外ではジャポニスムが流行し、日本の伝統工芸品が盛んに輸出されました。特に、象牙彫刻は日本が誇る高い技術と芸術性を象徴するものであり、海外のコレクターからも高い評価を得ていました。国内においても、富裕層を中心に、着物文化が花開いたこの時代には、帯留や根付といった装身具にも非常に凝ったものが多く作られました。
このような背景を考えると、今回の帯留は単なる装飾品としてだけでなく、当時の文化や工芸技術の粋を集めた歴史的な価値も持ち合わせています。能面という日本の伝統文化をモチーフにしながらも、象牙という素材と職人の技巧によって、時代を超えて愛される普遍的な美しさを獲得していると言えるでしょう。
お客様は、この帯留がご家族から受け継がれた大切な品であり、その価値を正しく評価してくれる業者を探していらっしゃいました。古美術永澤では、象牙製品をはじめとする古美術品に関して、専門知識を持った査定士が一点一点丁寧に拝見いたします。素材の質、製作年代、作者、保存状態、そして市場での希少性などを総合的に判断し、お客様にご納得いただける適正価格をご提示させていただきます。
ご自宅に眠る古美術品や、価値が分からない品物がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。経験豊富な専門家が、お客様の大切な品物を丁寧に拝見し、その価値を最大限に評価させていただきます。査定は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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