
彫刻 根付
この度は貴重な根付をお譲りいただき、誠にありがとうございます。
今回、お客様より買取させていただいたのは、厳しい形相でこちらを睨みつける、迫力ある人物を象った木彫りの根付です。
憤怒の表情ながらも、どこかユーモラスさを感じさせる顔つき。頭巾をかぶり、着衣の皺まで、細かく彫り込まれています。着衣のドレープの流れるような表現も見事です。
この人物像ですが、日本の仏教美術において重要な存在である「達磨大師(だるまだいし)」であると推測されます。
達磨大師は、インドから中国へ禅宗を伝えたとされる伝説的な僧侶で、その厳しい修行姿勢から、日本では縁起物として、特に厄除けや開運のシンボルとして親しまれてきました。
根付とは、江戸時代に広まった、巾着や印籠、煙草入れなどを帯から提げる際に用いる留め具のことです。ポケットのない当時の和装において、小さな実用品を携帯するための工夫として誕生しました。
やがて、その実用性だけでなく、職人たちの超絶技巧を凝らした美術品として発展し、様々な題材が彫り込まれるようになりました。動物、植物、伝説上の人物、日常生活の一コマまで、そのテーマは多岐にわたります。
今回の達磨大師の根付も、大変精緻な彫りから、高度な技術を持つ職人の手によるものと推察されます。時代を経た木肌の艶やかな色合いも、見る者を惹きつけます。
この小さな彫刻に込められた職人の想い、そして、この根付を愛用し、大切にされてきたであろう前所有者様の物語。まさに、古美術品とは、単なるモノではなく、時を超えて受け継がれる文化や人々の想いが詰まったタイムカプセルのような存在です。
もし、ご自宅に眠っている古美術品がございましたら、お気軽に、古美術永澤へご相談ください。専門のスタッフが、お客様の大切な品物を丁寧に査定させていただきます。
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