
チベット仏教において儀式具として用いられていた装飾法螺をお譲りいただきました。白く丸みを帯びた法螺貝を芯に、上部を真鍮で丁寧に覆い、獅子文様や唐草模様を浮き彫りで表現した、宗教美術品として非常に完成度の高い一品です。周囲には人工真珠の珠飾りが等間隔に並べられ、中央には青緑色の装飾石が嵌め込まれるなど、全体として荘厳な雰囲気を備えています。
このような装飾法螺は、ネパールやチベットなど密教文化圏で広く見られ、法具としての役割に加え、儀式空間を荘厳に演出する装飾的存在としても重要視されてきました。とくにチベット仏教においては、法螺は仏の教えを広める象徴とされ、八吉祥のひとつにも数えられる神聖な存在です。
チベット仏教はインド密教を基盤に発展した宗派で、法具・仏画・マンダラなど視覚的表現を重視する特徴があり、本品のような精緻な工芸は信仰の深さを物語るものといえます。金属部分の摩耗も少なく、珠飾りもほぼ完存していたことから、工芸的価値と保存状態の両面を評価させていただきました。
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