
サラスヴァティー神を表現した青銅製の尊像をお譲りいただきました。本像は、インド神話において学問・芸術・智慧を司る女神として知られ、日本では弁才天とも習合し広く信仰されてきた尊格です。聖鳥ハンサの背に静かに坐し、穏やかな面差しのもと、右手を印相に結ぶ姿が印象的な一作でした。
女神の右手が結ぶ印は「カルナ・ムドラー」と呼ばれ、中指と薬指を折り曲げて親指で押さえ、他の指を伸ばす構えを取ります。これは古代より「障害を取り除き、悪を退ける」力を宿す祓魔印とされ、密教やインド密儀思想の中で尊格の守護性を示す重要な手の表現とされています。
通常のサラスヴァティー神像が弦楽器を持つことで音楽や芸術を象徴するのに対し、本像は知恵そのものの内的力と加護の働きを印によって象徴的に表しており、地域的信仰と儀礼思想の融合をうかがわせる造形でした。
この像は、学びと芸術を象徴する神としての側面に加え、智慧の加護をもって悪を払い、清らかな思念をもたらす力を持つ像として、大変意義深い存在であったと評価いたしました。
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