
丸みを帯びた優しい表情が印象的な石彫の霊獣像をお譲りいただきました。掌に収まるほどの愛らしいサイズ感で、前脚を前方に伸ばして伏せるような姿勢が穏やかな雰囲気を醸し出しています。厳つい印象の多い従来の石獅子とは異なり、本作は全体のフォルムが柔らかく、親しみのある造形が魅力です。
台座と一体で彫られている構造や、安山岩系と思われるざらついた石肌などから、地方信仰や民間祭祀の場において用いられていた可能性が高く、中央の格式高い石獅子とは異なる“日常に寄り添う守り神”のような存在として位置づけられる作品です。こうした柔和な霊獣像は、近年では民芸や郷土美術の観点からも再評価が進んでおり、民間仏教や石造物文化を物語る貴重な資料となります。
可愛らしい造形と、どこか癒しを感じさせる佇まいが調和した逸品として、評価させていただきました。
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