
チベット金銅仏
先日、お客様より、貴重な金銅仏をお譲りいただきました。チベット仏教における重要な尊格であるダーキニーの金銅仏と見受けられます。
この金銅仏は、その力強いポーズと精緻な装飾から、チベット仏教美術の真髄を示す逸品です。ダーキニーは、智慧と慈悲の象徴であり、仏道修行者を導き、悟りへと誘う役割を担っています。
その姿は、しばしば燃え盛る智慧の炎を背景に、単身で舞うように表現されます。右手にカパーラ(髑髏杯)、左手には切刀(カルタリ)のようなものを持っているようにも見えます。首には人頭を連ねた瓔珞(ようらく)をかけ、恐ろしい姿をしていますが、これは煩悩を打ち砕くための方便と言われています。
こうした仏像は、チベット仏教の信仰と深く結びついており、宗教儀式や瞑想の際に用いられてきました。特に、このような小型の金銅仏は、個人が携帯し信仰の対象としていたと考えられます。何百年もの時を経て、持ち主の祈りや思いが込められていることを感じさせます。チベットの仏教美術は、インド仏教の伝統を継承しつつ、独自の発展を遂げてきました。
査定にあたっては、様々な要素を総合的に判断します。まず重要となるのが、作品の様式や時代、そして製作者です。次に、作品の材質や技法も重要なポイントです。金銅仏の場合、銅の合金の質や、鍍金(金メッキ)の残り具合、鋳造技術の精緻さなどが査定の鍵となります。細部にわたる装飾や、像全体のバランス、躍動感のある表現は、熟練の職人の技の証です。さらに、保存状態も重要です。
仏教美術品は、その美術的な価値に加え、宗教的、歴史的価値も高いものです。私ども古美術永澤では、お客様の大切なコレクションを、次の世代へと受け継ぐお手伝いができることを願っております。お手元に、こうした金銅仏や仏教美術品をお持ちでしたら、どうぞお気軽に古美術永澤にご相談ください。
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