
上宮太子の木像
今回、お客様より、上宮太子の木彫像をお買取りさせていただきました。上宮太子とは聖徳太子の別名で、日本の仏教文化において極めて重要な存在として古くから信仰されてきました。
この木像は、穏やかな表情を湛えた太子の姿が丁寧に彫り込まれています。右手に笏(しゃく)を持ち、左手は笏を支える典型的な太子像の造形で、頭部の髻や衣文の表現にも細やかな技巧が見て取れます。全体に温かみのある飴色の経年変化が見られ、長年にわたり大切に保管されてきたことが窺えます。
聖徳太子信仰は奈良時代から始まり、平安時代以降に本格化しました。特に太子を宗祖と仰ぐ聖徳宗をはじめ、各宗派において太子への崇敬は深く、多くの寺院で太子像が安置されてきました。江戸時代には庶民の間でも太子信仰が広まり、家庭の仏壇に安置するための小像も数多く制作されるようになりました。太子は「和を以て貴しとなす」の教えで知られ、日本人の精神的支柱として親しまれ続けています。
査定においては、まず造形の完成度と時代性を慎重に拝見します。また、使用されている木材の種類や彫り跡の状態、表面の仕上げ具合なども評価要素となります。保存状態については、虫食いや亀裂の有無などを確認いたします。
古美術永澤では、このような宗教美術品についても専門知識を持つ査定士が丁寧に拝見させていただき、適正な評価をご提示いたします。お客様の大切なお品物を責任を持ってお預かりし、その歴史的・文化的価値を正しく評価することをお約束いたします。
関連買取実績
-
2025.10.16
-
2025.10.15
-
このたび、チベット仏教における八供養女神像の一組をお譲りいただきました。 それぞれが花・香・燈・塗香・食・音楽・舞・合掌の八種供養を象徴し、仏に対する恭敬と浄化の行為を具現化した尊像です。 各...
2025.10.10
-
2025.10.09