
金銅仏(こんどうぶつ)
先日、由緒ある仏教美術品をお譲りいただきました。精緻な彫刻と温かみのある金色に輝く、多臂多面(たひためん)像の金銅仏です。このタイプのお像は、仏教美術の中でも人気があり、見る者を圧倒する迫力と、慈悲深い表情を両立させた傑作と言えるでしょう。
このお像は、保存状態が良く、穏やかな表情が印象的です。中心の顔と、その上と左右に積み重なる複数の顔、そして左右に広がる多くの腕は、仏教の教えにおける慈悲の広大さと、衆生を救済する力の多大さを示しています。特に注目すべきは、顔や腕の数に象徴される仏の無限の力です。こういった多臂多面像は、主に観音菩薩に見られ、稀に密教の他尊格にもその姿が見られます。中でも、千手観音の複雑な多臂姿は、仏師の卓越した技術と深い信仰心を必要としました。
日本の仏教美術において、金銅仏は飛鳥時代〜奈良時代以降、盛んに制作されました。特に金銅仏の技術は、中国や朝鮮半島から伝来したものが多く、仏教の伝来とともにその技術も発展を遂げました。時代を経たからこその、落ち着いた金色と、細部にわたる丁寧な造形は、見る者の心を惹きつけます。
こうした仏教美術品の査定にあたっては、様々なポイントを総合的に見極めます。まず、仏像の尊格や制作された時代です。お像の持物や印相、そして表情や装身具といった細部から、どの尊格を表しているのか、そしてどの時代の様式に則っているのかを推定します。そして、保存状態も重要です。
私ども古美術永澤では、一点一点の仏像に込められた仏師の想いと、長い年月を経て今に伝わる歴史を深く理解し、その価値を正しく評価いたします。ご自宅にご不要になった仏教美術品や、価値が分からずお困りの仏像がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。丁寧な査定と、お客様に寄り添ったご対応をお約束いたします。
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