
銅の水滴
先日、お客様より、大変珍しい銅製の水滴をお譲りいただきました。
躍動感のある象の造形と、長い年月を経て深みを増した銅の質感が、この水滴の持つ歴史と美術的価値を雄弁に物語っています。
目を引くのは、象の丸みを帯びた堂々とした体躯や象の皮膚の皺や耳のわずかな膨らみまでが繊細に表現されており、当時の工匠の並々ならぬ技術と観察眼がうかがえます。
水滴とは、書道において硯で墨を磨る際に、水を一滴ずつ加えるために用いられる文房具です。その名の通り、一滴ずつ水を垂らすための小さな穴が設けられており、実用性はもちろんのこと、書斎を飾る美術品としての役割も大きく、様々な素材や意匠のものが作られてきました。
今回の象の水滴は、ずっしりとした重みがあり、その中に水を蓄えることを考えると、十分な実用性を備えていたことがわかります。しかし、それ以上に特筆すべきは、その美術的な完成度の高さです。表面に施された古銅の仕上げは、光の当たり方によって様々な表情を見せ、見る者を飽きさせません。部分的に見られる緑青(ろくしょう)も、長い歳月が育んだ美しさであり、作品に一層の奥行きを与えています。
古美術永澤では、お客様が大切にされてきたお品物に込められた想いと、その美術的・歴史的価値を最大限に評価することを常に心がけております。今回の水滴も、その状態の良さ、製作年代、そして優れた造形美を総合的に判断し、お客様にご納得いただける査定額にて買取させていただきました。
ご自宅に眠っている書道具や古美術品はございませんか?価値が分からない、売却を検討しているといったお品物がございましたら、ぜひ一度弊社にご相談ください。専門知識を持つ査定士が、一点一点丁寧に拝見し、適正な価格で買取させていただきます。
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