
墨床(ぼくしょう)
先日、お客様より、買取させていただいたのは、木製の墨床(ぼくしょう)です。一見するとシンプルなデザインですが、木材が持つ温かみと、長い年月を経て深みを増した古格が感じられる逸品です。
墨床とは、硯で磨った墨を一時的に置くための道具です。書道において、墨の置き場は意外と重要で、机を汚さないようにするだけでなく、墨が乾燥しすぎないように、また次の運筆に備えて墨の状態を保つ役割も担っています。サイズは、手のひらに載るほどの小ぶりなものです。
この墨床は、緩やかな曲線を描く天板と、両端の渦巻状の脚の意匠が特徴的です。こうした装飾的な要素は、単なる実用具としてではなく、書斎の空間を彩る美術品としての価値を高めています。
この墨床は、きっと持ち主と共に長い時間を過ごし、多くの書に寄り添ってきたことでしょう。墨床は、書道という静謐な芸術を支える、いわば縁の下の力持ちのような存在です。
私たちは、こうした一つ一つの書道具に込められた物語や、受け継がれてきた文化的な価値を大切にしています。今回お譲りいただいたこの墨床も、大切に次の方へと繋いでいきたいと考えております。
古美術品、特に書道具には、まだまだ知られざる名品が数多く存在します。ご自宅に眠っている古墨、古硯、筆、文鎮、水滴など、どんなものでもお気軽にご相談ください。専門の査定士が、一点一点丁寧に拝見し、その価値を正しく評価させていただきます。
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