
フランス製の立体写真鑑賞機「Le Taxiphote(ル・タシェフォト)」をお譲りいただきました。外装は木で作られ、正面の二つのレンズを通して立体的に写真を見ることができる装置です。
この機械は19世紀末から20世紀初めにかけて、パリの写真機メーカー ジュール・リシャール社 が製造したものです。当時ヨーロッパでは「ステレオ写真」と呼ばれる立体写真が大流行し、この装置はその代表的な鑑賞機として多くの家庭やサロンで使われました。
仕組みは、内部に収められたガラス製の写真をハンドル操作で一枚ずつ送り出し、二つのレンズを通して左右の目に別々の画像を見せることで、立体的な映像として楽しめるというものです。乾板は専用のカセットにまとめて入れられ、鑑賞者はノブを回すだけで連続して写真を切り替えることができました。こうした仕掛けは当時としてはとても先進的で、科学教育や旅行の記録などにも利用されました。
タシェフォトは単なる娯楽品ではなく、世界各地の景色や建物をリアルに伝える道具として重要な役割を果たしました。上流階級の家庭や教育機関にも広まり、20世紀初めには「家庭用の立体映写機」として知られる存在になっていました。
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