
買取らせていただきましたのは、西ドイツの名門ツァイス・イコンが開発した一眼レフカメラ「コンタレックス(Contarex)」です。重厚な金属ボディと緻密なメカニズムを備えた名機で、その完成度は当時としても群を抜くものでした。
このモデルは1958年に発表され、翌1959年に発売されました。非常に高価なカメラで、発売当初の価格はハッセルブラッドのセットとほぼ同等という、まさにプロフェッショナルのための最高級機でした。レンズマウントは専用設計のバヨネット式で、ツァイスならではの高い加工精度が特徴です。
特にこの写真に写るモデルは、正面に丸い露出計窓を持つことから「ブルズアイ(Bull’s Eye)」の愛称で親しまれています。セレン式露出計を内蔵し、当時の技術としては非常に高度な連動測光を実現していました。精密な歯車機構と静かなシャッター音は、ツァイス・イコンの工芸的品質を象徴しています。
その後も改良が重ねられ、最終機「コンタレックス・スーパーエレクトリック」に至るまで複数の派生モデルが登場しましたが、シリーズ全体の生産台数は約55,000台にとどまるといわれています。いまなお希少な高級機としてコレクター人気が高く、特に保存状態の良い個体は市場でも高値で取引されています。
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