
オランダ・マーストリヒトの陶磁器メーカー、ペトルス・レグーによるアンティークプレートをお譲りいただきました。19世紀後半に製造されたと推定される本作は、当時欧州で流行していた東洋趣味の影響を色濃く受けたデザインが印象的で、日本の伊万里焼を模した華やかな色彩と構図が大きな魅力です。
中央には花籠を思わせる壺と花の意匠が配され、濃紺と朱を基調に金彩を交えた繊細な絵付けが施されています。縁には波打つようなレリーフ成形が見られ、アンティークプレートとしての存在感を一層引き立てています。こうした伊万里様式の図柄は、19世紀ヨーロッパで高い人気を誇り、ペトルス・レグー社もその需要に応える形で多くの輸出向け製品を制作しました。
裏面には「P. REGOUT MAASTRICHT」のバックスタンプがあり、同社がまだ「Sphinx」ブランドへ移行する前の製造品であることがわかります。ペトルス・レグーはオランダ初の大規模陶器工場として知られ、イギリス製陶器の技術を導入しつつ、独自の装飾性を加えた作品を多数世に送り出しました。本品はその代表的な例であり、当時の美意識と技術の融合を示す資料的価値の高い一点です。
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