
黒織部の酒杯
先日、お客様より、貴重な「黒織部酒杯」をお譲りいただきました。この酒杯の最大の特徴は、何と言ってもその「黒織部」としての存在感です。
織部焼は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて美濃国(現在の岐阜県)で焼かれた陶器で、その中でも黒織部は、鉄釉を厚く掛け、急冷することで生まれる漆黒の肌合いが特徴です。一部に施された灰釉や長石釉が溶けて白く発色し、黒とのコントラストが際立つことで、独特の風合いを生み出しています。
今回の酒杯も、深い黒釉が全体を覆い、高台脇は意図的に残された指跡や釉薬が流れた様子、そして焼成時の窯変によって生じたわずかな色の変化が見られ、唯一無二の魅力を放っています。
この酒杯は、手取りが良く、口当たりの良さも想像できるような造形が魅力です。古くから酒器は、ただの道具ではなく、酒席を彩り、人々の心を豊かにする大切な存在でした。この黒織部酒杯もまた、多くの酒席で人々を楽しませ、語らいの時を見守ってきたに違いありません。
共箱に収められていたことも、この酒杯の価値を一層高めています。共箱は、作品の来歴や、それを大切にしてきた人々の想いを今に伝えるものです。私たちは、この共箱からも、お客様がこの酒杯に寄せていた深い愛情を感じ取ることができました。
お客様は、ご自宅の整理を機に、この黒織部酒杯を手放すことを決断されたとのことでした。長年大切にされてきたお品物だからこそ、その価値を正しく評価し、次へと繋ぐお手伝いをしたいという私どもの思いと、お客様のご意向が合致し、今回の買取が実現いたしました。
古美術永澤では、陶磁器の専門知識を持つ査定士が、一点一点丁寧に拝見いたします。特に織部焼のような歴史的価値の高いお品物については、その時代の特徴、窯元、作家、保存状態などを多角的に評価し、適正な価格をご提示させていただきます。
ご自宅に眠る骨董品の買取をお考えでしたら、ぜひ一度古美術永澤にご相談ください。お客様の大切なお品物を、次世代へと橋渡しするお手伝いをさせていただきます。
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