
城山窯(じょうざんよう)の香合(こうごう)
先日、弊社に大変貴重な大磯城山窯(じょうざんよう)の香合(こうごう)をお譲りいただきました。精緻な筆致で描かれた意匠と、城山窯ならではの温かみのある風合いが一体となった逸品です。
城山窯は、明治時代後期に財閥三井家の別邸が神奈川県大磯の城山に築かれた際、その敷地内に設けられた窯です。三井家は、茶の湯を深く嗜む家風であり、自邸で用いる質の高い茶陶を求めて、独自の作陶を行ないました。
城山窯で焼かれた陶磁器は、三井家ならではの審美眼が反映された、個性的で高い芸術性を誇ります。現存する作品は非常に少なく、市場に出回る機会も極めて限られていることから、希少性の高い品物としても知られています。その多くは、三井家の関係者や、ごく一部の愛陶家によって大切にされてきました。
今回お譲りいただいた香合は、茶席において香を焚く際に用いる小さな器ですが、その一つ一つに職人の息吹と美意識が凝縮されています。画像でもご覧いただけますように、表面には岩山と波、そして松が描かれており、力強い自然の景観が表現されています。特に、松の緑の濃淡や波の表現の細やかさ、そして岩肌の質感に至るまで、筆致の確かさが際立っています。裏面には「城山」の銘が確認できます。
関連買取実績
-
2025.10.31
-
2025.10.30
-
2025.10.30
-
2025.10.28








