
古九谷焼の色絵皿です。白馬に跨る人物が山水景の中に描かれ、背後には楼閣や雲文を配するなど、中国故事を題材とした場面が鮮やかに表されています。馬具に見られる赤い房飾りも中国的要素を示しており、日本的風俗ではなく明確に大陸的意匠を踏まえた絵付けであることがうかがえます。
古九谷焼は17世紀半ば、加賀藩の庇護のもとで誕生した日本磁器の草創期を代表する焼物です。その最大の特徴は、中国絵画に範をとった大胆な構図と、赤・緑・黄・青の釉彩による力強い彩色にあります。本作もまたその典型に沿い、山水と人物を画面いっぱいに配することで、物語性と装飾性を兼ね備えています。
当時、日本は中国明清絵画や輸入陶磁を通じて東アジア文化を積極的に受容しており、九谷焼はその影響をもっとも色濃く映し出した磁器といえます。本作においても、中国的故事を日本の陶工が解釈し、日本独自の筆致と色彩感覚で表現するという文化的交差が伺えます。
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