
江戸中期に制作されたと伝わる源内焼の大皿です。厚みのある緑釉が縁全体に施され、中央には釣りを楽しむ賢人「太公望」の姿が描かれています。松樹や奇岩のある構図は中国故事を下敷きにした吉祥画題であり、源内焼が輸入陶磁や大陸的な題材を積極的に取り入れていたことを示しています。
源内焼は、博学者として知られる平賀源内が企画し、讃岐志度浦で短期間焼かれたと伝わる希少な陶磁です。その作行は中国陶磁を手本にしつつも、厚く鮮やかな緑釉や素朴で奔放な絵付けが特徴で、他の肥前磁器や九谷焼とも一線を画す独自性を持ちます。しかし生産期間は限られ、現存品もごく少数にとどまるため、地方窯の珍品として古陶磁の愛好家や研究者に高く評価されています。
本作は、釉薬の重厚な質感と花弁形の造形に源内焼らしい装飾性が表れ、中国故事を日本的な感性で再解釈した品といえます。
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