
このたびは、江戸後期に制作されたと考えられる「古伊万里 色絵丸文大皿」をお譲りいただきました。大きく平たい皿の中央には藍色(※染付=呉須で描いた青絵)の花文が配され、その周囲を取り巻くように赤・緑・黄で重ねられた花弁文様が広がり、全体を華やかに彩っています。縁には雷文(※古代中国由来の吉祥文様)がめぐり、格調高い仕上がりとなっています。
さらに注目すべきは、皿の中に描かれた複数の「丸文(円窓)」です。そこには船に乗る人物、海老、鳥、そして人物像が描かれています。それぞれには次のような意味が込められています。
船に乗る人物:福を運ぶ宝船を思わせ、幸運を招く象徴。
海老:腰が曲がるまで生きる姿から長寿を意味し、赤い色はめでたさを表す。
鳥:自然の恵みや季節の移ろいを示し、豊穣と繁栄のシンボル。
武人の人物像:勇気や力の象徴で、家を守る「守護」の意味。
舞人の人物像:祝祭や舞楽を思わせ、繁栄と祝福を意味する。
仙人風の人物像:不老長寿や学徳を象徴し、智慧を表す。
このように、本作の丸文には「幸運・長寿・繁栄・守護・祝福・智慧」という、人々の暮らしに必要とされる願いがひとつひとつ込められています。飾り皿として床の間や座敷に置かれ、単なる器以上に「家を守り、福を呼ぶ存在」として用いられたことがうかがえます。
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