
瀬戸焼の壺
この度、大変貴重な平安時代の瀬戸焼の壺をお客様よりお譲りいただきました。
穏やかな曲線を描く優美な胴部に、しっかりと立ち上がった把手(とって)、そして端正な注ぎ口を備えています。
全体を覆う自然な釉は、当時の土の質感と相まって、温かみのある風合いを醸し出しています。
瀬戸焼の歴史は古く、平安時代から鎌倉時代にかけて、釉薬を用いた陶器を生産していました。特にこの注口瓶のような器形は、中国や朝鮮半島の陶磁器の影響を受けつつも、日本の風土に合わせた独自の発展を遂げたことを物語っています。
着目したのは、釉薬と焼成の痕跡です。全体に釉薬が施されており、防水性や耐久性が高まり、生活道具として実用的な側面も持ち合わせている点です。
また、注ぎ口の造形にも注目しました。単に液体を注ぐための機能だけでなく、全体のバランスを考慮した、造形的な美しさも感じられます。二つの把手は、安定して器を持つための実用性と、器全体のデザインを構成するアクセントとしての役割を両立しています。
平安時代の製作と推定されるこの壺は、長年の歳月を経てなお、これほどの良好な状態で残っているのは稀であり、歴史資料としても、美術品としても、高い価値を有していると判断しました。
私どもは、単に品物を買い取るだけでなく、その品物が持つストーリーや、お客様の想いにも寄り添うことを大切にしています。今回の瀬戸焼の壺も、新たな持ち主の元で、その歴史を語り継いでいくことでしょう。
ご自宅に眠っている古い陶磁器や美術品がございましたら、ぜひ一度、私ども古美術永澤にご相談ください。専門の知識を持った査定員が、一点一点、丁寧に拝見し、その真の価値を見出します。
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