
徳化窯 白磁 仏像
今回、買取させていただいたのは、白磁で知られる中国福建省の徳化窯で焼成された観音菩薩像です。
徳化窯は、特に宋代から清代にかけて高品質な白磁を生産し、「中国白」としてヨーロッパでも高く評価されてきました。象牙のような温かみのある白さと、滑らかな釉薬の質感が特徴です。
この観音菩薩像は、大変精巧な造形が目を引きます。穏やかな表情、優雅に垂れ下がる衣、そして細部まで丁寧に表現された装飾品は、熟練の陶工の技を物語っています。特に、観音様が持つ魚籃(ぎょらん)は、観音様の三十三身の一つである「魚籃観音」を表しており、仏教美術における深い意味合いを内包しています。
魚籃観音は、魚籃を持つ美しい女性の姿で現れ、漁民や水難に苦しむ人々を救済すると伝えられています。このような細かな表現は、単なる美術品としての価値だけでなく、信仰の対象としての精神性も感じさせます。
また、共箱に書かれた「徳化窯」という文字と「魚籃観音菩薩像」という銘も、この作品の由緒を裏付ける重要な要素です。こうした箱や銘は、作品の来歴を証明するものであり、査定においては重要なポイントとなります。
私たちは、お客様からお預かりしたこの観音菩薩像を、その美術的価値、歴史的背景、そして信仰的な意味合いを深く考慮し、丁寧に査定させていただきました。徳化窯の作品の中でも、これほど状態が良く、かつ物語性のある作品は大変貴重です。
古美術品や仏教美術は、単に古いだけでなく、その時代背景や作者の思い、そして後世に伝えられてきた人々の信仰心が込められています。私たちは、そうした「見えない価値」にも光を当て、一点一点丁寧に査定することを心がけています。
もしご自宅に眠っている古い美術品や骨董品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤ご相談ください。お客様の大切なコレクションの価値を、正しく評価させていただきます。専門知識を持った査定士が、お客様のご期待に沿えるよう、誠心誠意対応させていただきます。
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