
上野焼(あがのやき)の瓢花入(ふくべはないれ)
先日、上野焼(あがのやき)の瓢花入(ふくべはないれ)を買取させていただきました。独特の造形と釉薬の景色が美しい逸品で、これまで大切にされてきたことが伝わるお品でした。
上野焼は福岡県に古くから伝わる陶器で、細川忠興公が開窯したとされる由緒ある焼き物です。その特徴は、なんといってもその洗練された造形と、窯変によって生まれる豊かな色彩にあります。特に釉薬の美しさは、青磁釉、鉄釉、灰釉などにより、様々な表情を見せてくれます。
今回の瓢花入も、青みがかった釉薬と、茶褐色に変化した部分が複雑なグラデーションを織りなしており、見る者を飽きさせない魅力がありました。
瓢(ふくべ)の形をした花入は、古来より縁起の良い形とされ、多くの陶芸家が手掛けてきました。その柔らかな曲線は、花を生けることでさらに生命感が増し、空間に温かみをもたらします。
上野焼の花入瓢は、その造形美に加え、釉薬の流れるような景色が加わることで、唯一無二の存在感を放ちます。今回のお品は、口造りが小さく、すらりとした首からふっくらとした胴へと繋がるシルエットが優雅で、熟練の職人の手仕事を感じさせます。
このような上野焼の作品を査定では、いくつかのポイントがあります。まず、重要視されるのは「作者」です。共箱や識箱に記された銘、そして作品そのものの作風から、その作者を特定します。
次に、作品の状態です。目立った傷や欠けがないか、釉薬の剥がれがないかなどを細かく確認します。また、窯傷と呼ばれる焼成時にできる小さな傷や、貫入と呼ばれるひび割れも作品の味わいとして評価されます。
そして、作品の「景色」です。これは、釉薬の流れや窯変によって偶然に生まれる模様のことで、上野焼の大きな魅力の一つです。同じ作者の同じ作品であっても、窯の中での位置や火加減によって表情が全く異なります。一点ものの芸術作品として、その唯一無二の景色がどのように評価されるかが重要となります。
もし、ご自宅に眠っている上野焼の作品や、その他陶磁器がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤ご相談ください。上野焼の持つ歴史と美しさ、そしてお客様の思い入れを大切に、査定士が丁寧に拝見させていただきます。
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