
柿右衛門様式の牡丹文花瓶
この度、お客様から素晴らしいお品をお譲りいただきました。今回は、その中から特に目を引く「柿右衛門様式 牡丹文花瓶」についてご紹介させていただきます。
柿右衛門様式は、日本の陶磁器の歴史において重要な位置を占める様式です。その起源は17世紀中頃に遡り、有田の陶工たちが創り上げた、華やかで洗練された色絵磁器のスタイルを指します。特に「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色の素地と、その上に描かれた赤、緑、黄、青などの上絵具が織りなす繊細な絵付けが特徴です。濁手は、柿右衛門窯の初代が試行錯誤の末に生み出した、乳白色の温かみのある肌合いで、後のヨーロッパの磁器にも影響を与えました。
柿右衛門様式は、その独特の美しさから、「古伊万里様式」や「鍋島藩窯様式」と並び、有田焼を代表する三大様式の一つとされています。特に、花鳥風月を主題とした余白の美を活かした構図は、西洋のロココ様式にも影響を与えたと言われており、世界中の王侯貴族や富裕層の間で高く評価されました。今回お譲りいただいた花瓶にも、この様式の代表的な意匠である牡丹が、生き生きと描かれています。
柿右衛門様式の磁器を査定では、いくつかのポイントがあります。まず、濁手の素地です。本物の濁手は、ガラス質を多く含んだ滑らかな白さではなく、しっとりとした温かみのある乳白色をしています。また、その上に施された絵付けの質も重要です。筆致の繊細さ、色の鮮やかさ、そして絵付けの剥がれやひび割れの有無などが細かくチェックされます。
さらに、保存状態も査定を左右する要素です。ヒビや欠けがないか、修理跡はないかなど、丁寧に確認します。加えて、今回のように「共箱(ともばこ)」が付属しているかどうかも重要なポイントです。箱に記された銘や書付は、その品物の由来や価値を証明する重要な手がかりとなります。
古美術品や骨董品は、単なる古いモノではなく、時代を超えて受け継がれてきた歴史や文化を物語る貴重な存在です。ご自宅に眠っている古い品々が、実はとんでもない価値を持つことがあるかもしれません。
私ども古美術永澤では、お客様の大切なお品物を、一点一点丁寧に拝見し、その歴史的価値や文化的背景まで含めて適正に査定させていただきます。買取を検討される際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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