
田村耕一 作の鉄釉花入
先日、お客様より、大変素晴らしい作品をお譲りいただきました。それがこちらの田村耕一作の鉄釉花入です。独特の存在感を放つこの作品は、日本陶芸界の巨匠の美意識を色濃く反映しています。
この花入の作者である田村耕一(1918-1987)は、栃木県足利市に生まれ、のちに東京美術学校(現・東京藝術大学)で陶芸を学びました。
戦後の日本陶芸界が新しい表現を模索する中、鉄絵陶器における独自の作風を確立しました。陶胎に筆を走らせるような自由で軽妙な絵付けにより、「絵画性を備えた芸術作品」へと昇華させました。
その功績は国内外で高く評価され、1976年には重要無形文化財保持者(人間国宝/鉄絵陶器)に認定されています。
田村耕一が力を注いだ鉄釉とは、鉄分を多く含む釉薬のことで、焼成の過程で様々な色合いやテクスチャーを生み出します。田村耕一は、この鉄釉の持つ重厚な質感や奥深い色合いを巧みに操り、独自の美の世界を築き上げました。彼の作品は、単なる器物としての機能を超え、まるで絵画のような芸術性を備えています。
今回の鉄釉花入も、まさにその真髄を示す一品です。口縁から、黒く溶け出したような鉄釉の表現は、見る者の想像力を掻き立て、鉄釉ならではの力強さを感じさせます。この複雑で深みのある釉調は、田村耕一が試行錯誤を重ねて生み出した、唯一無二のものです。
古美術永澤の査定士は、豊富な知識と経験に基づき、お客様の大切な作品を丁寧に拝見させていただきます。今回のような陶芸作品はもちろんのこと、茶道具、絵画、掛軸など、幅広い古美術品に対応しております。ご自宅に眠っている古美術品がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。熟練の査定士が、一点一点、その価値を最大限に引き出し、ご納得いただける価格をご提示できるよう努めさせていただきます。
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