
有田焼の波濤文 絵皿
先日、お客様より、買取させていただいたこちらの美しい有田焼の絵皿をご紹介いたします。
このお品は、藍色の濃淡で力強く描かれた波濤文様と、その間に配された華やかな花々のコントラストが印象的な絵皿です。波の文様は、渦を巻く部分が丁寧に描かれており、熟練した職人の技が光っています。
また、花々や葉の赤や緑といった多色の彩色が、有田焼ならではの繊細さと華やかさを際立たせています。このような多色で絵付けが施された作品は「色絵」と呼ばれ、有田焼の中でも高い技術を要するものです。
有田焼は、江戸時代初期に佐賀県有田町で発見された磁器の原料となる陶石によって、日本で初めて磁器生産が始まったことにその歴史を遡ります。当時、中国の景徳鎮窯に倣って技術が磨かれ、その高い品質と美しい絵付けは、やがて国内のみならずヨーロッパへと輸出され、王侯貴族をも魅了しました。
特に17世紀後半には、柿右衛門様式や古九谷様式など、日本独自の装飾様式が確立され、世界にその名を轟かせます。波文様は古くから縁起の良い吉祥文様とされており、富や豊かさ、そして絶え間ない幸運を象徴するとされています。この絵皿もまた、単なる食器としてだけでなく、暮らしに彩りと意味を添える美術品として作られたことがうかがえます。
一点一点の陶磁器には、その制作に携わった人々の情熱や、長い歴史の中で培われてきた技術、そして文化的背景が凝縮されています。
私ども古美術永澤では、お客様からお預かりしたお品物に込められた物語を大切にしながら、一点ずつ丁寧に拝見し、適正な査定価格をご提示できるよう努めております。買取をお考えの陶磁器がございましたら、ぜひお気軽に古美術永澤までご相談ください。
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