
宮川香山 福神袋引 置物
先日、明治の超絶技巧を代表する名工・初代宮川香山作の「福神袋引置物」をお譲りいただきました。
精緻な造形と卓越した絵付けが織りなす、真葛焼(まくずやき)の魅力が凝縮された逸品です。
今回のお品は、大黒天をモチーフにした人物が大きな福袋引き摺る様子をユーモラスに表現しています。福袋の口を持つ人物は、満面の笑みを浮かべ、その表情は生き生きとしています。皺まで細やかに表現されており、香山ならではの写実的な造形力が光ります。
真葛焼といえば、花瓶や香炉、動物などをモチーフにした細密な置物が有名です。特に明治時代に国外へ向けて輸出品として作られた真葛焼は、国内外の博覧会で高く評価され、世界中にコレクターが存在します。その特徴は、まるで生きているかのような動物の造形や、今にも動き出しそうな人物の表情など、非常に写実的な表現にあります。さらに、釉薬の使い分けや、細部にまでこだわった絵付けの技術は、まさに「超絶技巧」と称されるにふさわしいものです。
真葛焼の歴史を振り返ると、初代宮川香山は京都で陶芸を学び、明治時代初期に横浜へ移り住み、真葛焼を開窯しました。当時の日本は、開国を経て西洋文化が流入し、美術工芸品も海外輸出が盛んに行われていました。香山は、日本の伝統的な技術に西洋の写実主義を取り入れた、斬新で革新的な作品を次々と生み出しました。その功績が認められ、明治29年(1896年)には帝室技芸員に任命されています。
今回のような作品を査定させていただく際は、いくつかの重要なポイントを確認します。まず、作品全体の状態です。目立つ傷や欠け、ひび割れがないか、また修復歴がないかなどを確認します。次に、作家の真贋です。
宮川香山の作品は、国内外で非常に高い評価を得ており、需要も高まっています。今回お譲りいただいた「福神袋引置物」も、真葛焼の魅力が詰まった素晴らしい作品です。
宮川香山の作品のような陶磁器、古美術品、特に明治工芸をお持ちで、買取をお考えの方は、ぜひお気軽に、古美術永澤にご相談ください。
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