
瓢形 花入
先日、お客様より、美しい染付の瓢形花入を買取させていただきました。この花入は、瓢箪の形を模した独特のフォルムが特徴的で、日本の茶道文化において長く愛され続けてきた花器の代表格といえます。
この作品は、白磁の素地に呉須による染付技法で山羊のような動物の文様が描かれています。上部には雲文様、中央部には格子文様、そして最も目を引く胴部には可愛らしい動物が呉須で表現されています。底部にも連続する幾何学文様が施され、全体として統一感のある装飾構成となっています。
この染付の美しい藍色の発色は、適切な呉須の調合と焼成温度の管理、そして熟練した筆技によって生み出されるもので、作者の高い技量を物語っています。
瓢形花入の制作には、ろくろ成形の高度な技術が要求されます。特に上下のバランスを保ちながら、くびれ部分を美しく仕上げることは容易ではありません。染付による文様表現においては、素焼きした素地に呉須で下絵を描き、その上に透明釉を掛けて本焼きする技法が用いられます。呉須の濃淡による表現力や、筆運びの技術が作品の品格を左右するため、高度な絵付け技術が求められます。
瓢形花入の歴史は古く、中国宋代の陶磁器には瓢形に近い器形が見られ、日本では室町時代以降に、茶道とともに独自の発展を遂げました。茶の湯における花入として重宝されたのは、その優雅な形状が茶室の静寂な空間によく調和したためです。
染付技法は、中国から17世紀以降(江戸初期)に伝来し、その技術を日本独自に発展させたもので、その清楚で品格のある藍色の美しさは多くの茶人たちに愛されました。
今回のお品のような瓢形花入は、茶道愛好家や古美術収集家の方々に人気です。古美術永澤では、このような伝統工芸品の価値を正しく理解し、適切な査定を心がけております。古美術品の買取をお考えの際は、ぜひ古美術永澤までお気軽にご相談ください。
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