
大樋(おおひ)焼きの菓子皿
先日、お客様より大変貴重なお品をお譲りいただきました。それは、大樋焼 (おおひやき)の「菓子皿」です。木箱に収められた状態で、蓋表には「大樋長寿」「菓子皿」と墨書されています。
大樋焼は、石川県金沢市で350年以上の歴史を誇る伝統的な陶芸です。その起こりは江戸時代、加賀藩の茶道文化を支えるため、裏千家四代・仙叟宗室に招かれた楽家四代一入の子・土師長左衛門(後の初代大樋長左衛門)にさかのぼります。
初代は楽焼の技法を基盤にしながら、加賀の土と風土に合った独自の焼成法を確立しました。とりわけ「飴釉(あめゆう)」と呼ばれる深い光沢と温かみを持つ釉薬は、大樋焼の大きな特徴として今日まで受け継がれています。その土味と飴釉の調和は、多くの茶人や陶芸愛好家を魅了し続けています。
木箱に書かれていた「大樋長寿」の銘は、大樋焼の伝統は幅広い弟子筋や工房によっても支えられており、本作はそうした系譜の中で制作されたものと見られます。
今回お譲りいただいた菓子皿は、大樋焼特有の飴釉が深い光沢を放ち、見る角度によって豊かな表情を見せてくれます。中央には螺旋状の文様が施され、器全体に奥行きを与えています。茶席や菓子器としての実用性を備えながらも、美術工芸品としての存在感を感じさせる逸品です。
私ども古美術永澤では、大樋焼をはじめとする陶磁器・茶道具の査定に力を入れております。作品一つひとつの背景や価値を丁寧に見極め、適正な評価をご提示いたします。お客様が大切にされてきたお品物を次の世代へとつなぐことが、私たちの喜びです。
ご自宅に眠っている骨董品や美術品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。経験豊富な査定士が、誠意を持って査定させていただきます。
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