金城次郎 壺屋焼 魚文抱瓶

人間国宝に認定された琉球陶芸界の巨匠、金城次郎（きんじょう じろう、1912-2004年）作の壺屋焼（つぼややき）魚文抱瓶（ぎょもんだちびん）をお譲りいただきました。素朴ながらも力強い存在感を放つこの抱瓶は、沖縄の豊かな自然と、金城次郎が追求し続けた温かみのある民藝の精神を体現しています。

金城次郎といえば、魚文です。この抱瓶にも、奔放な筆致で描かれた躍動感あふれる魚の姿が、釉薬の下で生き生きとしています。呉須（ごす）の深く濃い青と、わずかに茶色を帯びた釉調が織りなす色彩の妙は、見る者に深い安らぎを与えます。

抱瓶は、その名の通り、体に沿うように平たく作られた水筒の形状をした酒器で、かつて琉球で旅や農作業の際に用いられていました。

壺屋焼の歴史は古く、17世紀末に琉球王府の政策により、各地の窯場が那覇の壺屋に統合されたことから始まります。金城次郎は、この伝統的な壺屋焼の技法を受け継ぎながら、独自の作風を確立しました。

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