安東五 井戸茶碗

韓国陶芸界の重鎮、安東五（あん とうご、1919-1989年）が手掛けた井戸茶碗をお譲りいただきました。

同氏は、朝鮮王朝時代の伝統的な作陶技法を長年にわたって研究し、失われかけていた李朝陶磁の美を現代に再興させた第一人者であり、韓国の人間文化財（日本の人間国宝に相当）に認定されています。

安東五が開いた「樊川窯（はんせんよう）」で作られた本作は、井戸茶碗特有の素朴ながらも堂々とした佇まいが大きな魅力です。器の表面を繊細に彩る貫入（ひび模様）や、しっとりと手に馴染むような釉薬の質感からは、名工の卓越した技術と深い美意識が伝わってきます。

井戸茶碗はかつて朝鮮半島で庶民の日常雑器として焼かれていたものでしたが、日本の茶人たちがその「無作為の美」に高い価値を見出し、茶の湯の至宝として尊んできた特別な背景があります。

古美術永澤では、こうした作家の情熱が息づく美術品を、知識豊かな査定士が誠意を持って拝見しております。長年大切にされてきたお品の整理をお考えの際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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