王雪濤 掛け軸

中国近現代画壇の巨匠・王雪濤（おうせっとう 1903-1982）による花鳥画の掛け軸をお譲りいただきました。

王雪濤は20世紀中国画壇において、特に花鳥画の分野で革新的な表現を追求した画家として高く評価されています。北京出身の王雪濤は、伝統的な工筆画の技法を基礎としながらも、写意的な表現を取り入れた独自の画風を確立しました。その作品は生命力に溢れ、自然の美しさを詩情豊かに表現することで知られています。

本作品は、王雪濤の代表的なモチーフである薔薇を描いた作品です。画面には鮮やかな紅色の薔薇が二輪描かれ、その周囲には緑の葉が描かれています。王雪濤特有の筆致で表現された花弁は、柔らかな色彩のぼかしによって立体感と生命感を表現しています。また、薔薇の棘のある茎部分も丁寧に描き込まれ、自然の美しさと力強さの両面を捉えています。

上部には蜘蛛が糸を垂らす様子が描かれており、これは王雪濤作品によく見られる昆虫の描写です。小さな生き物まで含めて自然界全体を捉えようとする作家の眼差しが感じられます。

作品の保存状態は良好で、絹本に描かれた色彩も鮮やかさを保っています。左下には王雪濤の署名と落款が明確に確認できます。

近年、中国美術市場の拡大に伴い、王雪濤作品への注目度は国際的に高まっています。特に花鳥画は中国国内外のコレクターから強い需要があります。

古美術永澤では中国近現代絵画の専門知識を持つ査定士が在籍しており、王雪濤をはじめとする著名画家の作品について適正な査定を行っております。

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