
陶器製の印材
先日、大変珍しい陶器製の印材をお譲りいただきました。
一見すると可愛らしい置物のようにも見えますが、これは印材で印鑑の素材となるものです。通常、印材と聞くと、象牙や水牛の角、あるいは石材を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、古美術の世界では、陶器製の印材もまた、その独特の風合いと意匠から愛好されてきました。
この印材は、その色合いと造形が大変特徴的です。上部には、何とも言えない表情の動物があしらわれています。狛犬のようにも、あるいは想像上の動物のようにも見え、見る者の想像力を掻き立てます。その表面には細やかな文様が施されており、職人の手仕事の温かみが感じられます。
土台となる四角い部分は、鮮やかな青色を基調とし、側面には花のような紋様が描かれています。この青と、上部の動物の色合いとのコントラストが美しく、全体として愛らしい雰囲気を醸し出しています。陶器ならではの質感と、釉薬の艶やかな光沢が、この印材に深みを与えています。
陶器製の印材は、石材や木材に比べて耐久性や印影の鮮明さといった実用性においては劣る部分もあります。そのため、実用よりも美術的価値、あるいは書斎を飾るオブジェとしての側面が強いと言えるでしょう。しかし、それこそが陶器製印材の魅力であり、収集家にとっては魅力的なポイントなのです。古くは文人墨客が自らの書斎に飾り、時には遊び心を持って使用したのかもしれません。そうした歴史的背景や、持ち主の個性を示す品として、古くから珍重されてきました。
この度の印材も、まさにそのような観点から評価をさせていただきました。特に、その保存状態の良さも特筆すべき点です。陶器は割れやすい素材ですが、目立った傷や欠けもなく、製作当時の美しい姿を保っています。
古美術永澤では、こうした品が持つ歴史的背景、芸術的価値、そして市場での希少性など、多角的な視点から丁寧に査定を行います。今回お譲りいただいた陶器製印材も、その意匠の独自性、保存状態の良さ、そして希少性を考慮し、お客様にご納得いただける価格で買取させていただきました。
ご自宅に眠る、もしかしたら価値のある品かもしれないとお考えの古美術品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。一点一点、丁寧に拝見し、その価値を最大限に評価させていただきます。
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