
中国唐代(7〜9世紀)の瑞獣葡萄文鏡です。瑞獣(ずいじゅう)とは、中国で吉兆を示すとされる空想の動物のことです。代表的なものに龍、鳳凰(ほうおう)、麒麟(きりん)や霊亀(れいかめ)があり、幸福や繁栄のしるしとして尊ばれました。この鏡の瑞獣も、力強くも柔らかな姿で描かれており、唐代の人々が吉祥の象徴として大切にしていたことがうかがえます。
この鏡は青銅製で、円形の姿に瑞獣をかたどったつまみがついています。鏡の表側には、立体的に浮き上がる瑞獣と葡萄の模様が全面に飾られています。中央に配置された瑞獣はそれぞれが仰向きになったり、振り返ったり、身をかがめたりと、さまざまな姿を見せており、生き生きとした印象を与えます。その間に描かれた葡萄はたわわに実り、豊かさと繁栄を象徴しています。
外側の帯状の部分には、カササギや錦鶏(きんけい)といった鳥、さらには多様な動物たちが表され、静かに枝にとまる姿や元気に走る姿が描き込まれています。さらに鏡の縁には雲の模様が一周しており、細やかな技巧が見事に表れています。
この「瑞獣と葡萄」の意匠は、唐代の中期に大流行したものです。当時はシルクロードを通じて西方の文化が中国に盛んに入り、葡萄や唐草模様は異国風のデザインとして大きな人気を集めました。中国の伝統的な意匠と西方文化が融合した証として、この文様は特に唐代を代表するものとなっています。
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