
瑞獣(ずいじゅう)(※中国で吉兆を示すとされる空想の動物のこと)をあしらった葡萄方鏡です。鏡としては珍しい四角い形をしており、非常に存在感のある作品です。中央には伏せた姿の瑞獣をかたどられています。それぞれが異なる姿で表され、どれも迫力のある表情を見せています。
背景には葡萄のつるが絡み合う文様が広がり、豊かさや生命力を象徴しています。円形の鏡が多い中で、このような方形の鏡は珍しいです。
ここで表されている瑞獣は「狻猊(さんげい)」と呼ばれるもので、唐代の鏡によく登場する題材です。狻猊は実際には獅子を原型とした想像上の霊獣で、芸術的に意匠化され文様として広く用いられました。中国最古の辞典である『爾雅(じが)』の「釈獣」の章には「狻猊は虥猫(ざんびょう/小型の虎に似た獣)のようで、虎や豹を食べる」と記されており、郭璞(かくはく)(※西晋から東晋にかけての学者(276–324)。『爾雅』など古典への注釈で知られ、風水や占いの分野でも後世に大きな影響を与えた人物。)の注釈では「すなわち獅子であり、西域から伝わったもの」と説明されています。勇猛で霊的な存在として、守護や威厳の象徴とされました。
同じような銅鏡は中国の浙江省衢州や江西省九江、広西の藤県や灌陽など、各地で出土していることが知られています。こうした広がりを考えると、この鏡も唐代の国際的な文化交流の中で生まれたものと考えられます。
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