
中国近代絵画の巨匠・呉昌碩による「梅花図」の掛軸です。呉昌碩は清末から民初にかけて活躍し、書・画・印を兼ね備えた「三絶」の芸術家として高く評価されており、その作品は今もなお世界中で広く収集・研究されています。
本作は、寒中に可憐な花を咲かせる紅梅を題材とした一幅です。力強い墨線で描かれた幹と枝は、篆書を思わせる重厚な筆致で表現され、朱を帯びた梅の花がそこに点じられることで、冬の厳しさと春の兆しが一体となった画趣を生み出しています。呉昌碩の花卉画に見られる生命力あふれる表現が、ここにも如実に示されています。
梅は古来より「高潔」「忍耐」「不屈の精神」の象徴とされ、呉昌碩が好んで描いた主題のひとつでもあります。厳冬に咲く梅を表すことで、画家自身の精神性や文人としての気概を投影しているともいえます。本作はそうした思想性と芸術性を兼ね備え、呉昌碩の画風をよく物語るものです。
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