
景徳鎮窯の辰砂(しんしゃ)花瓶
この度、お客様より、深い赤色が美しい景徳鎮窯の辰砂(しんしゃ)花瓶をお譲りいただきました。花瓶の底には「中国景徳鎮制」という印があり、箱書きと一致しています。
景徳鎮窯は、中国江西省景徳鎮市に位置する、中国陶磁器の中心地です。宋の時代から高品質な磁器を生産し続け、その技術は時代を超えて洗練されてきました。中でも辰砂は、焼成が非常に難しく、その発色の美しさから古来より珍重されてきました。
今回の花瓶は、その独特な色合いにまず目を奪われます。深く落ち着いた赤色は、光の加減で微妙に表情を変え、見る者を飽きさせません。形は、細い首から滑らかに膨らむ胴体へと続く、洗練された造形です。この優美なフォルムは、熟練の職人技の証と言えるでしょう。
辰砂は、銅を呈色剤として用いる釉薬ですが、窯の温度や酸素の状態が少しでも狂うと、美しい赤色が出ずに灰色や黒色になってしまいます。このため、理想的な発色を得ることは大変難しく、古来より「幻の赤」とも称されてきました。この花瓶の完璧な辰砂の色は、当時の職人の卓越した技術を雄弁に物語っています。
私ども古美術永澤では、このような貴重な古美術品を、単にモノとしてではなく、その背景にある歴史や物語、そして何よりお客様の思い入れを大切に、丁寧に査定させていただいております。
もしご自宅に、価値が分からない古美術品や陶磁器がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。一点一点、その価値を誠実に査定させていただきます。
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