
漢代の緑釉(りょくゆう)陶器
先日、お客様より買取させていただいたのは、漢代(紀元前206年~紀元後220年)に制作された美しい緑釉陶器の浅鉢です。中国古陶磁器の歴史において重要な位置を占める貴重な逸品のひとつです。
漢代の緑釉陶器は、鉛を主成分とした低火度釉薬を用いて焼成された陶器で、その美しい緑色の発色は銅の酸化物によるものです。この技法は前漢時代後期から始まり、後漢時代にかけて大きく発展しました。特に明器と呼ばれる副葬品として制作され、当時の貴族や富裕層の墳墓から数多く出土しています。
本作品は典型的な漢代緑釉の特徴を備えており、浅い鉢形の器形に施された緑釉の美しい発色が印象的です。経年による風化や剥落が見られますが、これらは時代を経た証しです。器の底部に見える金色の装飾的な台座は、後世に付けられたものと考えられ、この作品を鑑賞用として大切に扱われてきた歴史を物語っています。
漢代緑釉陶器は、中国で独自に発展した鉛釉技法によるものとされています。ペルシャやローマの影響を受けながらも、中国独自の美意識によって洗練された技法は、その後の中国陶磁史に大きな影響を与えました。特に唐三彩へと発展する釉薬技術の基礎となったことでも知られており、中国陶磁器の歴史において欠かせない存在です。
このような漢代緑釉陶器の査定においては、まず時代性の確認が最も重要となります。器形の特徴、釉薬の質感や発色、胎土の状態などを詳しく観察し、漢代の特徴と合致するかを検証します。
古美術品は単なる古い品物ではなく、悠久の歴史と文化を現代に伝える貴重な文化遺産です。古美術永澤では、こうした歴史的価値の高い作品を適正に評価し、次の世代へと大切に受け継いでいくお手伝いをさせていただいております。お手元の古美術品についてご相談がございましたら、経験豊富な査定士がしっかりと拝見させていただきます。
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