
中国の伝統的な漆工芸技法である彫漆を用いた「堆黒倶輪文盒子」をお譲りいただきました。器全体に倶輪文を巡らせた、総倶輪文による構成を特徴とする作品です。
倶輪とは、輪がともに連なり巡り続けるさまを意味し、倶輪文は、渦巻状または同心円状の曲線を連続させて作り出される伝統文様です。雲が渦を巻くような、波が複雑にうねるような流動的曲線を特徴としています。日本では倶利文・屈輪文と表記されることもあり、漆芸をはじめとする工芸品、刀装具、寺院装飾や茶道具などに多く見られます。
本作は黒漆のみを用い、蓋上面から側面に至るまで余すところなく倶輪文様が丁寧に彫り込まれております。器全体に均一に配された渦文は流麗で力強く、黒漆の落ち着いた質感と相まって、重厚で気品ある佇まいを呈しています。
経年による漆の浮きや剥落といったダメージは見受けられるものの、時代を経たものならではの深い味わいが感じられ、元代から明代にかけて成熟した彫漆技法の伝統を今に伝える作品となっています。
また、本作に付属する「寄託品預証書」によれば、かつて富士美術館に寄託されていた経歴があり、当時「堆黒屈輪文盒子 一合」として管理・評価されていたことが確認できます。来歴資料を伴う点は、美術工芸品としての信頼性を高める重要な要素と言えるでしょう。
お手元に漆工芸品や陶磁器類などの中国美術品はございませんか。古美術永澤では、来歴のはっきりしないお品物につきましても、熟練の査定士が確かな目で査定いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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