
七宝のピルケース
先日、美しい七宝(しっぽう)のピルケースをお譲りいただきましたので、ご紹介させていただきます。
本品は、蓋の部分に雄大な山岳風景が描かれた七宝のピルケースです。深い青色で表現された山々の稜線、手前に配された緑豊かな木々、そしてひっそりと佇む小さな家屋。これらが緻密な筆致と鮮やかな色彩で描かれており、まるで小さなキャンバスを見ているかのようです。七宝特有のガラス質の光沢が、風景に奥行きと輝きを与え、見る角度によって表情を変えるのがまた魅力の一つです。
目を引くのは、その細部にまでこだわり抜かれた装飾です。蓋の縁取りには、金彩で施された繊細な文様と、鮮やかなブルーのエナメルが交互に配されており、作品全体の格調を高めています。これらの装飾は、単なるピルケースとしての実用性だけでなく、美術工芸品としての価値を高めています。
このピルケースは、おそらく19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパで製作されたものと推測されます。当時の七宝工芸は、その美しさと耐久性から、装飾品や小物入れなど様々な品に用いられ、上流階級の人々に愛されました。特に風景画をモチーフにした作品は人気が高く、その写実性と芸術性の高さが評価されていました。
古美術永澤では、お品物の持つ歴史的背景、製作された年代、そして何よりもその美しさと希少性を総合的に判断し、今回の七宝ピルケースにつきましても、お客様にご納得いただける査定額をご提示させていただきました。
古美術品は、単なる古いものではありません。そこには、時代を超えて受け継がれてきた職人の技術、当時の文化や人々の暮らし、そして持ち主の想いが込められています。私たちは、そうした「物語」を大切にし、次世代へと繋ぐお手伝いをさせていただいております。
もしご自宅に、価値が分からない古いものや、使わなくなった美術品、骨董品などがございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。専門の査定士が、一点一点丁寧に拝見し、そのお品の真の価値を見極め、適正な価格で買取させていただきます。
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